ミキサーの話


 
 「ミキサーと言ってもジュースを作るもんではありまへん」なんちゅーのは、さすが関西人やなぁと、自ら思う??!

 マルチマイク(複数のマイクを用いる)録音や、マルチトラック(最終的にはステレオ作品などにするが、その製作過程では、楽器1つずつを独立した部分に 録る)録音では、必ずこれらの音を2つ(ステレオ)にまとめるミックスの作業が必要になる。
 同時に、各楽器にエコーやリバーブなどの効果を入れて、作品の総仕上げの「一歩手前」の作業をするのがミキサーである。

 ・・・ちなにみ、ミキサーを用いないのは「ワンポイントステレオ録音」で、同じ品質のマイクを2本か、マイクユニットが2つ入った1本のマイクで録音方 法である。
 ・・・さらに、「ワンポイントステレオ録音が最も良い」という、神話に似たものがあるが、決してその限りではない。

 (上の記載でミキサーは、作品の総仕上げの「一歩手前」と書いたが、総仕上げを行うのは、リミッターなどの装置を使って、媒体(CDやMDやテープな ど)の許容範囲に音を収める機材である)
 
 
第一歩は、自作だった


 マイクの選択や使用方法が良ければ、余り必要はないと考えてい たが、それ以上に、録音音楽を始めた頃は金も無く、大阪日本橋の電子部品店でバリオーム(ボリューム=可変抵抗器)と固定抵抗などの部品を買ってきて、自 作していた。

 へたなアンプを使うより、抵抗だけで作成した方が、音がよいしノイズがない。

 この考えは今もあって、超ウルトラオーディオマニアでは、プリアンプを使わずに、超高級バリオームと選択スイッチだけでプリの代用している人もある。 
 
 今は、金がなければ、ネットオークションで買う方が、部品を買って自作するより安い時代ではあるが。
 しかし、私にとっては、こういう回り道が、今の人生にとても役立っている、と言えば言い過ぎか?


TEAC M −2を購入




 1970年代は、ソニーが「カセットデンスケ」なるポータブルステレオ録音機を発売して、マニアは、左肩にはデンスケを掛け、右手にはワンポイントステ レオマイクを持って、頭は密閉型のヘッドフォンを被って、「ナマロク」という時代だったが、業務用を除くとまともなマイクミキサーは売っていなかった。

 そんな時代に発売されたのが、TEACのM-2というミキサーで、入力は6チャンネルあり、使い易いパンポットが付いていたが、トーンコントロールは無 かった。しかし各チャンネルごとにローカットスイッチは100Hzと200Hzを選択でき、余り使わなかったが、5kと10kのハイカットスイッチも付い ていた。

 さらに、各マイクアンプからの直接ライン出力端子もあって、応用範囲がとても広いことだった。

 今は、各チャンネルにイコライザー(トーンコントロール)が付いているが、この製品には付いていなかった。
 この点では、簡単にテキトーにミキシングすることは難しくなるが、当時の私にとっては、マイクセッティングを相当考えないと、まともな録音ができないこ の機種で、マイク録音の基本を勉強させて頂いた、という点で素晴らしい選択だった。
(逆に言うと、今この様な機種はないので、入門者もついつい機材に頼ってホンモノのマイクセッティングのトレーニングが出来ていないのでは?・・・プロも 一緒とちゃいまっか?)


 

 この製品は基本性能が良く、購入後30年経過した今でも、マイクプリアンプとして、機能の一部を利用している。



フォステクスのModel450を購入



 4チャンネル+αでの録音に限界を感じていた頃に、フォステクスから8チャンネルのオープンリールテープレコーダーが発売された。
 この初期型には、余り魅力を感じなかった(基本性能は良かったが)、その後この改良版としてModel80という製品が出たが、これは当時の私の必要条 件にちょうど合っていたために、これを購入し、同時に同社のModel450を購入した。
 
 特に、同じ会社でペアで売っていたから買ったのではない。
 
 私にとってはとても使い易い。その決め手は、配置が手前から、フェーダー・トーンコントロール・パンポット・外部出力の順で並んでいるためだ。

 特に、私の場合フェーダーの次にトーンコンロールが付いているのが使い易い。さらにこれがパラメトリックイコライザー仕様になっていて、チャンネルが8 つしかないことを除くと文句なしの製品だった。

 ただ、欠点と言えば、8チャンネルの自宅録音用のミキサーとしては大きい。
 しかし、大きいから使い易いという部分もあった。約15年ほど使用したが、この間に故障はなし、ツマミのガリもなしで、個々の部品もかなりしっかりした もの使っているのだろう。

 悲しい話だが、まだ全く壊れていないが、その後の多チャンネル化のために今は部屋の隅で眠っている。


Mackie SR24・4 VLZを購入





 多チャンネル化に伴って、どちらかと言うと仕方なく24チャンネルのミキ サーを購入した。しかしこのミキサーは、ホンモノの24チャンネルではなく、実質コントロール出来るのは22チャンネルであるが、良くできた製品である。

 難点は、フェーダーが小さいこと、付属回路が複雑で、「使いこなせない」「使い切れない」ことである。

 それまで使っていたミキサーは、「回路図を眺めて、本来の使い方を越えて120%活かして使ってきた」という感じだったが、このミキサーは、おそらくま だ使い切れる性能の7割ほどしか使えていない。

 当たり前かもしれないが、このレベルの機種になると、細部についてはマニュアルを読まないとすべての機能を使えない。直感だけでは使えない部分があるこ とである。

 今までの機材は、何かトラブルがあっても音を聴くだけで、直感的に「この辺がおかしいかな?」と気づいていたが、このレベルの機種になってくると、トラ ブルがあったとき、それに気づくまで一拍おいてしまう。

 最終的に、この製品に決めたのは、かつて作った自作のラックに収まる24チャンネルのミキサーがこれしかなかったということではあるが、購入して短期間 で故障して修理(おそらくファンタム電源に関したトラブル)したが、それ以降の約8年はトラブルもなく、非常に使い易いすぐれた製品である。

 「簡単に使いこなせない」という部分はあるが、これは自分自身の怠慢であって、でもさらにマニュアルを読んで「使い込みたい」とは思わないので、私に とっては最後のミキサーになるだろう。・・・壊れなければ。
 


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