トロンボーン

 中学で吹奏楽部に入部して、トランペットを吹くようになったが、ブラスアンサンブルと言えば、「トランペットとトロンボーンだ」と頭の中では、お決まりパターンが出来上がっていたので、中学時代から密かに練習していた。
 何と言っても長さが刻々と変わる楽器は、これ以外では、夜店で売っている笛くらいのものだろう。
 トロンボーンを発明したのは、誰か知らないが(トロン・ボーンさんか)、常識的に考えると、演奏中に楽器の長さが変わるなぞというのは、極めて異常な話で、想像するに、初めにこの楽器を作って演奏した人は、指揮者に「おまえ何、変なもんを作ってまんねん」「何考えてんねん」と叱られたに違いない。そんな冗談から駒の様な楽器がやがてオーケストラで採用されるなんて、きっと「トロン・ボーン」さんも想像すらしなかっただろう。
 演奏法も変ならば、トロンボーンは音階としても不思議な楽器で、基本ポジション(スライドを一番短くした位置)はシ♭(B♭)で他の多くの金管楽器と同じなのに、楽譜はCとして記載することである。これはどうしてか??
 そんなことを知らない私は、トロンボーンをB♭管と思いこんで練習し始めたため、トランペットと同じ調子なのである、私にとっては。
 

1本目中学時代の私の親友が吹いていたのと同じトロンボーンを近くの中古楽器屋で見つけた。予想通り「阪神電車出屋敷駅北東にある、私にとってはいつもの店である。その楽器を買ったのは、もう15年は前の話。
 話は戻ってその昔(1970年頃)ヤマハ・ニッカンからは一般に、4クラスの楽器が発売されていた。
 一番安いランク(呼称は不明)、カレッジモデル、インペリアル、プロモデルであった。それぞれ約2、3、5、7万円だったかな?
 もちろんそのランク別にケースもプロモデルは高級感のある、インペリアルはちょっとだけかっこの良い、カレッジモデルはそれなりの???、ノーマルはとりあえずある?というハードケースだった。
 で、15年ほど前に、その店に行って、ショーケースの奥に、カレッジモデルのトロンボーンのケースがあって、「何でやろう?」と思いながら、そのそれなりのケースを開けてみると、なんと「銅金色に光る」憧れの「プロモデル」が入っていた。で、すぐに買ってしまった。当時1万8千円だったかな?

 その後、ラッパ吹き(この場合はトランペット奏者という意味)なので、トロンボーンの2本目を買うことは考えてもいなかったが、バックのトランペットを手に入れて以来、ブラスアンサンブルに凝っていた私は、しかしそれでも楽器は酔ってからしか演奏しないので、スライド式の普通のトロンボーンだと、音程が酔った程度でバラバラになることがあるのに録音してみて気付いた。
 しかしトロンボーンの音は捨てられないし、と悩んでいた頃に・・・・。 

2本目のトロンボーン購入を考える様になった。トロンボーンの音は欲しいが、酔ってるから音程がおかしくなる。でも酔ってないと面白くない。
 「これや!」とばかりに思いついたのが、バルブトロンボーンである。

 もちろん小さい頃からその楽器が世の中に存在することは知っていたが、相当音楽をやっている多くの人が見たことがないほど、稀な楽器=値段が高い。のである。
 今(2001年)でも普通はバルブトロンボーンというと、「普通」は30〜50万円くらいするんじゃないかな。・・・・だから一般人、ましてや私のような「ええ加減な」タイプには手が届かない楽器と決めつけていた。

 ところが、飲み屋で知り合ったおっさんが、たまたま楽器屋さんで、その人に話を聴きながら、ここからさき、酔った勢い、というのは実に恐ろしいもので、その話を聴いただけなのに、なんと酔った勢いのみでそのまま注文してしまった。何と「中古原則」の私なのに・・・・。

 もちろん、これには訳があって、そのバルブトロンボーンを実は吹いたことがあったのです。当然それを吹いた当時は将来買うなんて考えていなかったけど。
 ちなみにその楽器の音は、余り私の好みでは無かったのだが、それなのになぜかというと、トロンボーンという楽器は、どれでも2つに離れる構造になっていて、普通のスライドトロンボーンだと、スライドする部分とベルの部分がねじで止めてつながっているが、とても気に入っている「1本目」のトロンボーン(ヤマハのプロモデルスライドトロンボーン)のベル側のねじと、この台湾製のバルブトロンボーンのピストン側(吹口側)のねじが偶然合うというのを知っていたということがあって、「えぃ」と買ってしまった。ちなみにとても安かったとは言え「新品のバルブトロンボーン」だから10万円くらいもした。
 で、この写真にある様に、台湾製のバルブ側とヤマハのプロモデルのベルを使って演奏している。
 

3本目は、持っていない。ちなみにこれは、スライドトランペットを大写しにしただけ。
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